一生に二度の初恋を『あなたへ』
コーラが音をたてて床に溢れ落ち、小さな水たまりができている。
「俺、めっちゃかっこ悪い…」
「全然そんなことないよ‼︎わたしのために走ってきてくれたからこんな……」
床に膝をついて必死の思いで斎藤くんの制服を拭いた。
だって凄く嬉しかった。戻って来てくれるとは思ってなかったから。
「……」
何も言ってくれない…答えたくないほど怒って……るのかな。
慌ててわたしは動きを止めると、斉藤くんは横を向いて片手で口を押さえていた。
そしてわたしの視線に気づいたのか目が合うと、すぐにまた違う方向を向いてしまった。
えっと、もしかしてこれって。恥ずかしがってる…?
「顔…見ないで。びっくりして……と、ありがとな。
もう大丈夫だから、水道行ってくるわ」
「いっ、行ってらっしゃい……」
わたしは席にもう一度座った。
顔、赤くなってるの初めて見たな……。
頬がピンクに染まっているのは隠していても分かった。
斎藤くん、実は女の子に耐性が無かったり?
うーん…あんな顔見せられたら誰でもドキドキするよね。
急に体温が上がったみたいに、わたしの身体が熱い。