一生に二度の初恋を『あなたへ』


人にどう思われるかが怖くて喋れないっていうのは……相手が自分のことを受け入れてくれない、そう思って信じないこと?


信じてないと、本音を伝えれない。そしたら自分を理解して受け入れてくれる人なんて現れない。その繰り返し?



わたしは永遠に悪循環してたのかもしれない。



ずっと、中学生のときから変わりたいと思ってたのに、気付かなかった。

わたしがするべきことは、人を信じることだったんだ。



「ありがとう……」

「ん?何が?」


「ふふ……」



自分が優しいことにも、そうやって気付いてくれることが他人にとってどれだけ嬉しいかにも気づいてない。


頭にハテナマークを沢山浮かべている斎藤くんが可愛くて、笑ってしまった。



変わりたかった……わたし。


前の自分みたいにもう、伝えられなくて、悔しい思いをしたくなかった。


だから今信じたい、沢山の人を……。



ちっぽけなたった一言の変わるきっかけ。


わたしはその『信じる』というきっかけが欲しくて……ずっと諦めてた。




風が吹いて、木が揺らぐ。

わたしの髪も微かに揺れた。


もう、春の風だ。

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