一生に二度の初恋を『あなたへ』

・伝えたいけど



「ふぁ……」


先生にばれないように手を当てて小さくアクビをする。数学の時間。

眠すぎる……。


ノートを書くフリをしてシャーペンを持ったまま下を向いた。



春は暖かくて、無防備な態勢に入ろうとするから眠くなるって聞いたことあるけど。

それにしても最近の授業中は春という季節と、寝不足がマッチしてかなり酷い。



極めつけに今日はお昼の後の五時間目の数学だよ?寝るなっていう方が難しいと思う。

周りを見ると半分まではいかないもののかなりの人が寝てるし…。



「……これ。分かるやついるかぁ」



潮波先生の眠気を誘うような声がわたしを余計に惑わせた。はきはきとしながらもどこか優しい先生の声も授業中寝る人が増える原因だと思う。



頑張れ、わたし。


無意味な喝に加えて、頬をつねったり色んなところに痛みを加えてみたりするけど、やっぱりわたしの眠気はどこにもいかないみたい。



そんな曖昧な意識の中で、わたしの寝不足の原因、悩みの種のことを思い出した。

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