一生に二度の初恋を『あなたへ』
言うのが怖い?それとも、わたしは言いたくないの……?
「お眠の優さんっ。次、移動教室だよ。一緒にいこっ」
肩を思いっきり叩かれた。
「気づかれてたんだ……恥ずかしい。今用意するからちょっと待ってて」
最近仲良くなった同じクラスの如月 結愛(キサラギ ユイ)ちゃん。
わたしの近くの席の女の子で、まだ慣れないクラスでお互いに色々なこと聞きあってたらいつの間にか仲良くなっていた。
目がパッチリしてて涙袋がくっきりと見える可愛らしい顔立ちに、染めてる訳でもないのに、綺麗な栗色のボブ。
これぞ女の子って感じの子で、たまにギューって抱き締めたくなる……けど実は無自覚で力が強い女の子で。
多分わたしの肩を叩いたときも、強かったなんて思ってないと思う。
でもそこがまた可愛い。
「もう悠真くん、次移動なのに授業延長するのは止めてほしいよねー。
あ……え、嘘。三分前。速く行かなきゃ」
悠真くんというのはわたしのクラスの担任潮波先生のあだ名。
沢山の生徒から慕われてるけど、眠くなる声と授業延長しちゃうところがたまに傷……だとわたしも心からそう思う。
結愛ちゃんに連れられて急いで走っていると、途中の渡り廊下で斎藤くんを見つけた。