一生に二度の初恋を『あなたへ』


いつもこの喫茶店に来るのは嫌なことが続いたりして落ち込んでいるときで、ついここに来るとひとりの世界に入ってしまう。


友達といるんだし、一人で勝手に暗い気持ちになるのは、相手に失礼だよね。

あっ、どうしよ。話聞いてなかった……。


「彼氏とかいる?」



わたしが戸惑っているのを察してくれたのか、笑(エミ)ちゃんはもう一度繰り返すと、ストローをくわえてニヤニヤしながら聞いてきた。



「わたしはいないよ。恋ばなできなくて……ごめんね」


顔が一瞬にして歪んで、拗ねたようにジュルジュル、と最後までジュースを啜りきっているのが見えてつい苦笑い。


わたしに彼氏なんて……いるわけない。


だって、それ以前に……。

「まぁ優は美人だし理想高そうだもんなー。クラスの男子とか興味なさそう」


カフェラテの白いマーブル模様をスプーンで掻き回していたわたしは、思ってもみなかったような言葉に顔を上げた。


男子の理想……なんて、そんな。

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