一生に二度の初恋を『あなたへ』
教室の窓から涼しい風が流れてくる。
わたしの髪は微かに揺れて、風が肌を触ると熱かった身体は徐々に冷えていった。
ある人って、春さんのことだよね。
春さんは斎藤くんにとって大切な人。
そんなことは最初から分かってた。
でも、笑えなくなるほど、無理して笑おうとするほど、春さんが大事だったんだ。
また痛くなった。
今度は心臓をギュッと掴まれて。過呼吸を起こしてしまいそうなぐらい、今まででの中で一番……痛い。
「大丈夫だよ――…わたしは斎藤くんの笑顔に救われてる」
何の根拠もないけど、わたしから出た精一杯の言葉。
だってそう言わないと、斎藤くん、今にも崩れてしまいそう。
――わたしが本当にその春さんと似ているとすれば、わたしが春さんの代わりになれたら、どんなに良いんだろう…。
ずっと、離れないよ?
何処にもいかないよ?
斎藤くんの笑顔を、絶対に。
壊さない――…。
――ガラガラ…