一生に二度の初恋を『あなたへ』
・逢いたい人はいますか?
――……手紙を見せた。
春さんを想う斎藤くんの気持ち。
ずっと言えなかった罪悪感。
色々なものが混ざりあって、声を震わせながら全ての出来事を話すと、斎藤くんは
『高梨は悪くないから』
そう言っていつも通りに笑ってくれた。
でも心はどこか遠くの別の場所に行っていたのは分かった。
斎藤くんは、何を思っているのだろうか。
本当に言って良かったのかな。
斎藤くんを傷つけない方法。もっと何かあったんじゃないかな。
考えたら埒があかない……。
わたしが何も言わずに黙っていると、斎藤くんが無表情のままでいることには変わりなかったけれど、唇を次第に噛み締めていった。
「斎藤くん…」
何を言えばいいのか分からない……それが悔しい。目の前に傷付いてもがいている人がいるのに、何もできないことが。
色々な感情を押し込めている斎藤くんの動作に痛みがわたしにまで伝わってくる。
悔しさでわたしも唇を噛みそうになった。