一生に二度の初恋を『あなたへ』


春さん。幼なじみ。イジメ。ずっと好きだった人。


斎藤くんの話の中で出てきた単語が頭の中で無限ループのようにぐるぐると回り続ける。



ーー助けれなかったんだよ……俺は。幼なじみに気遣うなってほど春は涙ひとつ見せなかった。

何度聞いても答えない春に俺といる時間だけでもせめてそのことを思い出させないようにって深く問い詰めなかった。


ーーそしたらさ…



冬休み、春さんが突然いなくなった。



ーー俺は後悔した。もっと俺が向き合っていればって。春の家に行っても両親はずっと無言……でも生きてるって聞いたときは俺も少し救われた。

もしかしたらこの世からいなくなってしまったんじゃないかって思ってたから。



そして春さんの友達に『ここに住んでるかもしれない』『手紙を送るだけなら……』そう言ってこの住所を教えてもらったらしい。



「約束破ろうとしたからバチが当たったんだろうな。俺高梨の家にも一回行こうとしたんだよ、道迷って結局行けなかったけど。

……その春の友達も俺の気を紛らわすために適当な住所教えたんだろうな」



斎藤くんは苦笑した。「あんまりだよな」そう小さく呟いて。

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