一生に二度の初恋を『あなたへ』
「高梨に偉そうに人を信じろとか言ったけど、俺も信じれてなくて、心の中でずっと閉じ込めてきた春のこととか、誰にも話せてなかった。
だから……ごめん」
「……謝ることじゃないよ。心の中のこと、話してくれてあの……その。斎藤くんのこと知ってるけどまたひとつ知れた気がし……。
て、あ、ごめん!!知ってるっていうのは…えと、隣の席だし、沢山助けてもらったからであって、何もかもを知ってるとかじゃないんだけど。
ほら斎藤くん、何でもできちゃう人だし」
わたし、空回りしてる……‼︎
それに知ってるなんて言ったら何かストーカーみたいで、引かれてそう。
言い訳は沢山したけれど、今更だ。
「……そんなことないから」
斎藤くんの静かな声で冷静になって、目をそらしている斎藤くんの方を見つめる。
うん……。そのもう一つの顔を、今日わたしは知ることができた。