一生に二度の初恋を『あなたへ』
わたしは戸惑いを隠せなかった。
『何で……?』と問いたいけど、お母さんだけが毎日悲しい笑顔で病院に来る。
何が起こったのかは分からないけれど、わたしのせいだというのはお母さんのわたしを見る顔で段々と分かってきた。
それから退院して、家に戻るとお父さんがわたしにとる態度は。
最後に会いに来てくれたときよりも酷く……。
まるで、別人だった。
暴言。
暴力まではしなかったもののわたしにありったけの罵声を浴びさせて。
『優、お前なんか生まれてこなきゃ良かった』
数々の暴言の中、いつも最後の最後疲れた顔でそう呟く。
お母さんがそれに巻き込まれなかったのは幸いだった。けど。巻き込まれたも同然だった。
『もう、やめて!!』
そう止めに入るお母さんは、いつも泣き崩れる。
でも、ひとつ気になることがあった。
わたしがどんなに暴言を吐かれていても一度も、お母さんはお父さんを責めたことがない。
確かにお母さんは夫をたてる妻ではあったけど……多分お母さんは暴言吐いてるお父さんが怖かったとか、逆らえなかったわけではなくて――。