一生に二度の初恋を『あなたへ』


「電車の時間あるしそろそろ出た方がいいよね?」

「うん、ここから駅まで少しかかるから、早めに行っといた方が安心かな」


一人しかいない店員さんを呼んでレジに向かっていると、急に立ち止まった笑ちゃんに後ろにいたわたしはぶつかりそうになる。

「わっ!!」



揺れた髪がわたしの顔に触れて、爽やかなシャンプーの香りがフワッとした。


「絶対に誰にもわたしが来たこと言っちゃだめだからね!優のお母さんとかも。どこでばれるか分かんないし」




わたしの数少ない仲の良い友達、笑ちゃんはたまに毛先がクルッと跳ねてる黒髪のショートカット。

綺麗な顔立ちに、いかにもスポーツ系って感じの女の子だ。


小学生の頃からの友達で中学二年生の冬、わたしが隣の県に引っ越してからも、たまにこうやって会ってたりする。


連絡手段はわたしが携帯を持ってないから、家にある電話か少し古風だけど文通。

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