Short Funny
「会社を辞めることになりそうなんだよ」


そう伝えても、少年の表情は変わらなかった。


「何か失敗したの?」


…失敗?



私は苦笑する。


そうか…。そうだ。
それを私は認めたくないんだ。


「甘かったんだよ。胡座をかいてしまってたんだ」


私が任されたプロジェクトの内容は、第8エリアの研究施設跡地に建設される、マンションの空間デザインと施工計画全般だった。


社長は私だけにプロジェクトを任せ、それまでの部下に加えて有能な設計士やデザイナーを私の下につけた。


会社の存続を賭けた一大プロジェクトだったんだ。


というのも、ブラックハーバーシティの土地を購入する為に、銀行から多額の融資を受けたと聞いたからだ。


最後の賭けというわけだった。
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