Short Funny
私はその少年が気になって、様子を見続けた。


少年は子供達のシュートが決まれば、パッと晴れたような表情になり、外れれば残念そうな顔をする。


ただ、時折見せる淋しげな表情に切なくなって、私はベンチから立ち上がった。


少年はサッカーに夢中なようで、近付く私には気付いてはいない。


変質者だとは思われないだろうか…。


私は少し離れた場所から出来るだけ脅かさないように声を掛けた。


「友達じゃないのかい?」


その途端に、少年はビクッと背筋を伸ばし、きょろきょろと周囲を見渡した。


サッカーやりたいんだろう?


「なんなら、おじさんが掛け合ってあげようか?」



私は出来る限り、優しく声を掛けた。
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