どきどきツンデレーション
「お、おはよぉ…」
ぜえぜえと肩で息をしながら教室に入れば、奈美恵は笑顔でこっちに手を振る。
「遅かったわね、絢音」
「疲れたよー、朝から走って…」
机に荷物を引っかけて、とりあえず机に項垂れれば奈美恵はいつものように頭をポンポンと撫でた。
「……あ、お姉ちゃんおはよ!!」
「へ?!!」
お姉ちゃん?
びっくりして勢いよく立ち上がれば、目の前には同じ顔をした女の子が首を傾げている。
「どうしたの、お姉ちゃん…?」
「おはよ、歩実」
「あ、おはよー!!」
あゆみ、と呼ばれた女の子はにっこりと笑顔を見せた。
「ねえねえ、お姉ちゃん。お弁当、持ってきてくれた?」
「あ、えっと…うん」
鞄から黄色の巾着を、取り出せば女の子は、安心したように息をついた。