幼なじみとあたしの関係
「次郎、行くよ」


この暢気な二人の放つ強烈な空気に飲まれてしまわないうちに、あたしは次郎を引き連れて、リビングを出た。


「知ってると思うけど」


あたしは階段を上がりながら、後ろの次郎に話しかける。


設計ミスなのかどうなのか、家の階段はなぜか他のどこの階段よりも角度が急だった。


「家の階段、急だから気をつけ…」


ふと、あたしの手を掴んでいる次郎の手が目についた。


いつも見慣れてるはずの自分の手が小さくなってしまったのかと思うくらいに、すっぽりと包んでいるごつごつした『男子』の手。

あたしの知らない手。


そのまま顔を上げて、あたしについてくる次郎を見る。


昔と同じ目線の高さになってみると、あまりの違和感にぎょっとした。


次郎だからと思って見ていたけど、自分と同い年の男子が、小さい子どもみたいに泣き顔で自分についてくる姿は明らかに異様だった。

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