幼なじみとあたしの関係
そっか。


よく考えるとあたしは、昔と同じこの情けない表情以外は全部知らないんだった。


低くなった声も、

骨格がはっきりして、男らしくなった顔も、

温かい茶色に染められた、流行りの髪型も、

広い背中も、

匂いも。


それから、次郎が引っ越してからの7年間、どんなところでどんな風に暮らしてきたのかも。


きっとどこかですれ違っていたとしても、あたしはこの人が次郎だとは気づかなかっただろう。


あたしの中の次郎はずっと、あたしを含めたそこらの女の子よりもよっぽど可愛かった、7年前の姿のままだったから。

.
< 11 / 24 >

この作品をシェア

pagetop