幼なじみとあたしの関係
「…上がっておいで」


「うん」


上がってもいいけど、畳が水浸しになるぐらい泣くのはやめてほしい。


まぁ、あたしの家には幸い畳の部屋はないんだけど。


怒鳴ってしまったお詫びに、こっちからも迎えに行ってやろうと、あたしは仕方なくソファーから立ち上がる。


その瞬間、次郎がばたばたと騒がしくリビングに走り込んできた。


「アコちゃん!」


一瞬にして視界のほとんどが白くなって、身動きが取れなくなる。


生ぬるいシャツの布が顔に当たって、自分のより高い体温と重さがあたしを包む。


息をすると、微かに甘い匂いがした。


「…」


何!?何だこれ?

どうすりゃいいの!?


慣れないその感覚に、あたしはどうしたらいいのかわからず完全に混乱してしまっていた。

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