幼なじみとあたしの関係

「アコちゃ〜ん」


しばらくどうにもできずに立ち尽くしていると、耳元で露骨に鼻をすする音が聞こえてきた。


いや、ちょっと待て。

落ち着けあたし。


いくら慣れてないって言っても、相手は次郎だ。


「あ〜。はいはい」


我に返ったあたしは適当になだめるようにそう言って、少し戸惑いながら次郎の背中に手を伸ばす。


肩越しに顔の上半分だけを出すと、ダイニングでおやつの時間を満喫しているママとちょうど目が合ってしまった。


「あらあら〜。次郎ちゃんは相変わらずね」


相変わらずね、なんてそんな穏やかな顔で暢気に言ってる場合じゃないよママ。


女の子のように可愛かった昔と違って、身長180cm近くもありそうな男が涙と鼻水で汚れた顔で娘に抱きついている様は、

クッキー片手に再放送のドラマを見ながら、そんな悠長にしていられるようなもんじゃないでしょうよ。

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