幼なじみとあたしの関係
「早く放してって。部屋行ったら話聞いてあげるから」


「あら、もう行っちゃうの?」


ママは椅子から立ち上がって両方の手にクッキーを掴むと、自分の顔の横に持っていってお茶目に笑った。


「次郎ちゃんクッキー好きだから、あとでおやつに持っていくわね」


…ええ、ママは本当に暢気で可愛らしい女性ですよね。


パパがうざったいほど惚れてるのもわかるよ。


そのわざとらしさ、あたしなんて一瞬、クッキーのCMか何かだと思っちゃったもん。


次郎がクッキーが好きだったのは昔のことで、今はどうかもわからないのに勝手に決めつけてるしね。


「ほんと!?ありがとおばちゃん」


次郎も次郎で、自分が泣いていることも忘れているのか、陽気にわーいと言いながら嬉しげににっこり笑った。


あんた…まだクッキー好きなんだ。


そんな男前な顔してファンシーなのね。

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