カンナの花


自分の気持ちを無視しようとした。


だって、わたしには、諦められない人がいる。まだ、あいつが好きだもん。
今日会ったばかりの人、まして、妻帯者を好きになるわけは…。


そう、彼は既婚者だった。




たくさんのチャラ男とギャルと一緒に、マイクロバスに詰め込まれる。
でも、きのうと今朝ほどは、それが嫌じゃなかった。


狭い車内。車が曲がる度、彼が倒れてきたり、わたしが傾いたり、触れることを余儀無くされる。
わざとじゃないけれど、彼がそれを楽しんでいる気がする。わたしもまんざらではない。


いや、それはわたしのひとりよがりかな。
< 14 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop