カンナの花
コンビニの前の公園でアイスをほおばった。彼が買ってくれたモナカアイスは、あっという間にお腹に収まった。
人気(ひとけ)の無い公園だった。
周りを木々に囲まれたベンチに、わたしたちはいた。
昼間の続きのように、おしゃべりをした。彼は文学部の出身だとわかってからはもう、止まらなかった。
わたしは文学部志望だった上に、お互い本好きだったから、話題には事欠かなかった。
好きな作家のこと。
最近読んだ本のこと。
好きな文体。嫌いな文体。
好みのジャンル。
文学部というところについて。
間違いはどこからだっただろう、
話題はこんなにまともだったのに?
気がついたら恋バナになっていた。
わたしは中学の時から引きずっている"あいつ"の話をした。
中学の時両想いだったのに、わたしは機会を逃して、あいつを別の子に取られたこと。
この前の地元の夏祭りで会ったこと。会ったと言っても遠くから見ていただけだけど。
優しくされたり、メールをまめにし合うわりに、告白したらもう友達としか見られないと言われたこと。
最近受けたばかりの傷だった。夏休みで友達にも会えてないから、誰にも話せていなくて、わたしはきっと、誰かに聞いてほしかったんだと思う。