カンナの花
1.赤い花が咲く頃
購買で買ってきた紙パックジュースに大粒の水滴がまとわりついている。
水滴がくっつき合って流れるのと同じ早さで、わたしの背中を汗が流れた。
冷や汗だ。
「え…?」
周りの喧騒が遠のいたように感じた。まるで、自分たちだけが、空間から遮断されたように。
「信じられないよね。ほんとにこんなことあるんだぁ、って思ったよ。」
「あの、お父さんが…」
───浮気。
大学3年の夏。親友から激白された。