カンナの花
でも、わかった。こういうことだっんだな。わたしが無知なだけだったんだな。
おもしろがってる?
わたしのこと、おもしろがってるでしょ?
思わずそう聞き返した。
彼は少しだけ驚いたような顔をしてから、いじけたように言った。
オレ、人をもてあそぶようなひどい人じゃないよ。
本気だよ。って。
彼はそう言ったんだ。
私はなんて言っていいのかわからなかった。
再び彼の体に抱き寄せられた。私は素直に従った。ドキドキしすぎていて、もはや抵抗する力も無かったのかもしれない。
ただ、黙って抱かれていた。
自分が少女マンガ張りのシチュエーションに遭遇しているのがひたすら信じられない。
しかも、知らない街の公園で、わたしたちは闇に紛れている。
こうされるの、嫌?
全然嫌じゃない、むしろ、ずっとこうしていたい。そう思っていたけれど。うまくしゃべれなくて。
口が素直になれない私は、やっとの思いで、
拒絶する、ほど、じゃない。
と言った。
彼は余裕を残した顔で、でしょ、と微笑んだ。その余裕が悔しかった。でも私にはとても敵わなかった。