カンナの花
「知らない? じゃ今度会うまでの宿題。」
「まじかよ。じゃかんなもレポートやってこいよ」
「え? なんの?」
「先週授業いたじゃん! あさっての、西洋文学史!!」
「やば。忘れてた。」
バイト漬けのかんな。今までは否定的な目しか向けられなかった。正直。
それでも学校に以前よりも来ていたから黙認していたけど。
これからはより前向きに支えてあげよう。かんなは、わたしが思っているよりもずっとしっかりしている。
わたしがするべきなのは、お世話じゃない、支えることだ。そう思った。
「ねぇ、ところで、生クリーム。」
「え? 全部食べちゃだめだった?」
「いや、いいんだけど。いいんだけどさ、すごいね。よく平らげたね。」
「いやん、だってスプーンでたった5杯だよ」
「山盛り5杯な。わたしなら胸焼けするわ」
かんなの食欲は偏っている。時々、絶食し、時々、ものすごく食べる。
まぁ、こっちも、食べられるだろうと思って渡しているのだけど。
「ところで、しまざきは? 最近どうよ。」
「ん? まぁ、普通じゃん?」
「お母さんと仲良くやってる?」
「仲はいいんだよもともと。」
「あぁ、そうだね。その分干渉されがちなんだよね。」
「そうそう。」