カンナの花


やはり突然の告白だった。
かんなの告白を受けた翌日の夕方。おやつを食べながら。

絶対内緒ねって。かんなの話をした。

全部聞いたあと、お母さんはいきなり言ったんだ。


「あたしね、きっと誰よりもかんなちゃんの気持ちわかる。あのね、」

すごい剣幕のまま、堪えきれずに、というか、少しだけなげやりな調子で。

「うちの父親、浮気してたんだよ」

ぶっきらぼうに。目に怒りをたたえて。


うちの母親はもともとぶっきらぼうなんたけど。


わたしは一瞬あっけに取られた。
これまでずっと黙っていたのか。わたしが子どもだからって。


こんなことなら、大人だと認めてもらわなくてよかった。いつまでも夢を見ていたかった。


「あたしが15の時に発覚してさ。だからあたしは地獄見てんのよ。」


そういえば最近の、非嫡出子への遺産相続のニュースにめちゃめちゃつっかかっていたっけ。子どもに罪はないけど、妻帯者とわかって付き合う女はどうなのよって。


お母さんは詳しいことは言わなかったけれど、子ども、いたのかな、いなかったのかな。


いない、と信じたいけど。



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