カンナの花
だってもしよその女の人との間に子供がいたら、腹違いの姉妹ってわけだから、これまでのわたしの人生の中で一度は存続くらいは耳にしそうな気がする。
どうなんだろ。でも、知りたくないかも。
告白のセリフを言い放ったあと、母は遠い目をしていた。何かを思い出していたのだろうか───。
かんなとコーヒー屋を出て街を歩いた。商店街にいいにおいが漂う。
「あ、本屋寄っていい?」
「いいよ。何買うん?」
「教科書。」
「今さらかよ、てか生協で買えよ。」
「もう生協の返品されちゃったんだよ、出版社に。」
「はいはい。行こ。」
そういえば西洋文学史の教科書はいつもわたしが見せていたんだった。レポートな、書く気あるんだ。
ならばとわたしはガーデニングのコーナーへ。かんなからの宿題を調べよう。
花言葉図鑑を手に取る。
カンナ。カンナ科の被子植物。
名前はもともとラテン語(Canna)なので漢字は存在しない。目にするものはどれも当て字らしい。
そして花言葉を見て驚いた。