あたしだけを愛しなさい
そして、お互いがお互いを見つめ合ったまま少し時が経つ。
「す、少し状況を整理しようか?」
西川愛梨は困ったように微笑んだ。
トクン、と小さく胸がなる。
久しぶりに感じる胸のときめきだけど……これは、あまりにも西川愛梨が可愛すぎるだけで。
俺も彼女いるけど男だから仕方ない、と戸惑いを無理矢理胸にしまい込んだ。
そして西川愛梨の言葉に頷いた。
「えっと、あたしは“放課後に屋上で待ってますって”靴箱に手紙が入ってたんだけど…。」
「俺も、同じく。」
で、来てみたらこいつが来たと。
「じゃ、偶然にたまたま時間と場所が同じだったってだけだよね?」
偶然とたまたまを強調しながら言うこいつ。
……一瞬本気で西川愛梨は俺に告るのか、と見当違いな勘違いをしてしまっていた。
「…まあ、そうだな?」
やべぇ、はず。
自分の勘違いに若干ショックを受けているのか、恥ずかしいのか、複雑な思いを抱いていた時…。
屋上の扉が開いた。