psi 力ある者 愛の行方 
プロローグ





  ―――― プロローグ ――――





一六年前

静かな夜を震わせる二つの泣き声が、闇を切り裂くように声を上げる。
それは、この先の未来を予知したかのように狂い泣く、哀しみを纏った赤子の声だった。

「お義母さん、お願いしますっ――――…」

泣きながら懇願するも、その望みは退けられる。

「無理なんだよ……。双子は――――…」
「どうしてっ……」

縋り泣きつくも、その相手は肯定できない。
肯定してはいけない――――。

どちらか片方の未来を望むなら。
片方だけでも未来を望むなら。


おぎゃーっ!

おぎゃーーっ!


泣き声は、二つからいつしか一つへとなり。
それの代わりに、母親のむせび泣く声がこの夜の中に溶けて消えた――――――――。



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