psi 力ある者 愛の行方
嫉妬
―――― 嫉妬 ――――
引きずるようにして廊下に連れ出され、人通りの少ない階段下へと連れて行かれる。
いつまでも握られたままの手を振りほどき、泉を睨みつけた。
「……ごめん……」
強引なこの態度に怒った顔を向けると、眉を下げて素直に謝ってくる。
そんな簡単に謝るくらいなら――――。
「嫌なんだよっ」
私が反論しようとすると、泉は急に吐き捨てるように叫んだ。
「え?」
何?
嫌なのは、私の方だよね?
お昼休み邪魔された上に、こんなところに無理やり連れてこられて。
陸だって、今頃きっとびっくりしてるよ。
いったいなんなの?
「あいつといる時の未知。楽しそうで嫌なんだ……」
「え……?」
あいつって?
「姉弟ができて、色々落ち着くまで忙しいだろうと思うよ」
陸の事言ってるの?
「俺だってそのくらい判るから、あんまり煩わせちゃいけないと思って未知の傍に行かなかったけどさ」
そうなんだ。
そんな風に気遣ってくれていたなんて、知らなかった……。
「でも――――」
「でも……?」