psi 力ある者 愛の行方
「だいたい。弟なんていったって、義理じゃん」
表情を崩さないまま、冷めたい視線が私を見ている。
義理……。
確かに客観的に見ればそうだろう。
つい最近、苗字が一緒になって。
つい最近、一緒に暮らし始めて。
つい最近まで、他人だった……。
けど、私は。
私たちは、本当の家族になろうって努力している。
お父さんだって、お母さんだって。
私たちのことを気に掛けてくれている。
陸だって、私だってそうなれるように向き合ってきた。
なのに、そんな言い方ってないよ。
いくら泉だって、そんな言い方っ。
キッと泉の瞳を睨み返し、悔しさに拳を握り締めた。
いつもの泉なら、こんな風に私が怒れば直に冗談で返したり。
ちゃんと素直に謝って来ていた。
なのに今は、怯むことなく私の視線を真っ向から受けている。
「未知が怒る気持ちはわかるよ。けど、あいつと血がつながっていないことは、事実だろ?」
いったい、何が言いたいの?
私を怒らせてどうしたいわけ?
怒りを抑えられないまま、ただ私は泉の言葉を聞いていた。