psi 力ある者 愛の行方 


姉弟という枠を踏み外してしまった先には、何があるのだろう。

お父さんもお母さんも、言葉を失うかもしれない。
姉弟になったはずなのに、と驚愕するかもしれない。

一度もぶたれた事などないけれど。
父は、私が泉をぶったように、手を上げるかもしれない。

お母さんは、せっかくできた家族に落胆し、毎日泣いて暮らすかもしれない。

そんな風に色々想像してみても、目の前に突きつけられないと感じられない物事に、やっぱり頭は冷静だった。

それよりも、私のことを心配し、こうやって抱きしめてくれる腕の中に安らぎを感じていたかった。

今だけ。
今だけ、この腕の中に。

私は、自分の両手を陸の背に回した。

その行為に抱きしめられていた腕が、更に優しさを帯びた気がした。

そうして陸は、私の耳元で何度も言う。

「未知……未知……」

囁く私の名前に、泉の言った愛が存在する気がした――――。


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