psi 力ある者 愛の行方
この世には、私以外にもこの力を持つ人間がいるのだろうか?
祖母からは、そういう類の話が出たことは一度もなかった。
惣領家以外の力ある者。
私が実際知っているというか、接触した事のある力ある者は、いまだかつて祖母ただ一人。
けれど、祖母がよく話し聞かせてくれた御伽噺の一説に、こんなものがあった。
力ある者同士が想いを交わらせてはいけない。
その行方には、けして未来は存在しない。
あるのは、おぞましい程の恐怖と破滅のみ。
御伽噺の中で、私が一番怖いと感じた部分だった。
想いを交わらせてはいけない。
要するに、愛し合ってはいけないということ……。
愛し合った先には、恐怖と破滅が待っている。
その部分を聞かされるたびに、私の心臓は何かに握りつぶされたように苦しくなり、息苦しさと寒気に襲われ身震いがした。
こういう約束事が存在するということは、惣領家以外にも力ある者の家系があるかもしれない、ということなのだろうか……。
そうとしか考えられない。
私は、痣をなでるように触る。
これと同じ痣を持つ者がこの地球上には存在している、かもしれない……。
もし、存在しているのなら――――会ってみたい……。
芽生えた好奇心を抑え込むことが出来ない。