psi 力ある者 愛の行方
祖母が他界し、相談する相手がいなくなってしまった今。
私は。
私の知る限り、この世に存在するたった一人の力ある者。
もし、同じ力を持つ者が近くにいるのなら、私と同じ苦しみを味わっているかもしれない。
力を持つ故の、他人には言えない孤独を抱えているかもしれない。
もし、その力ある者に会うことができたなら――――。
そこまで考えて、頭を振る。
いけない――――。
そんなのダメ。
もし、それが同性ではなく異性だったとしたら……。
もし、万が一祖母が言ったように想いが通じ合ってしまったら……。
そこに待つのは、終焉――――。
芽生えた好奇心を押し込め、小さく息を吸い、今思ったことを忘れるかのように、大きく吐き出した。
いるわけなどない。
こんな特殊な力を持つ者が、そうそういるはずなどない。
今までだって、出会った事もないのだから。
祖母からも、聞いたことさえないのだから。
私はこの世に一人きり。
力を持つ、たった一人の人間――――…。