psi 力ある者 愛の行方
「未知……愛してる……」
抱きしめてくる陸の声には、かすかな震えがあった。
いつも、真っ直ぐと躊躇い無く放たれるのとは全く違う。
不安を含み、躊躇いや戸惑いさえ感じさせる声だった。
きっと、怖いんだ。
陸も怖いんだ……。
今まで私が二人のことに戸惑いを感じてきたように、陸もずっと同じ感情を抱いていたんだ。
親を裏切るような二人の想い。
どんなに自分の中でブレーキをかけようとしても、けして止まる事のなかった想い。
法律で認められていようが、親を傷つけてしまうのは明らかなことだった。
両親の気持ちを考えては、立ち止まり。
けれど、自分の心が騙せずにまた進んでしまう。
姉弟として出逢ったはずの自分たちが、こんな風に想いを交わらせてしまうなんて。
誰も予想なんてしなかった。
自分たちだって、こうなるなんて……。
その日、私たちは、飽きる事もなくお互いのつながりを求めた。
何度も何度も体温を確かめ合い。
止める者など居ないその空間の中で、温もりを確認し、名前を呼び合った。
愛していると。
愛しいと。
これがまるで最後の別れのように―――――――――。