psi 力ある者 愛の行方
「こんな、どこの奴とも知れない俺だけど。未知……離れていかないでね。俺を一人にしないでね……。未知を癒して上げられるのは、俺だけなんだから」
愁いを帯びた瞳が私を映し出す。
願うように囁いて、胸元に引き寄せる。
離れるわけがない、こんなに愛しいのに。
離れられるわけがない……。
こんなに愛しているのに。
「陸……」
愛しさを込めて陸の名前を呼んだ。
初めて聞かされた生い立ち。
私に話してくれた辛い過去。
こんなに大好きな陸と、離れたりなんか絶対にしない――――。
誰とも血の繋がりがない、と陸は孤独を感じていた。
私は、力を持つ故に孤独を感じてきた。
そんな孤独が、私たちを引き寄せたのかもしれない。
一人じゃないんだと。
傍にいてくれる人が。
体温を感じあえる人がいるんだと。
けれど、陸と交わってしまった今日。
私たちは、考えていた以上の禁忌を犯していることに、まだ気付きもしなかった。
それは、運命ともいえる辛く悲しい現実――――…。