psi 力ある者 愛の行方 


夏休みも半ばのこと。
風邪を引いたかもしれない、と珍しく陸が寝込んだ。

「大丈夫?」

額にアイスシートを乗せ、陸の顔を覗き込む。

「なんか、風邪って感じじゃない……。よくわからないけど、変な感じ……」

苦しそうな呼吸の中、掠れた声で陸が言う。

熱を測ると三十九度。
高熱に魘される表情は、真っ赤で苦しそうだった。

お母さんが心配して病院へ連れて行ったけど、風邪としか診断は下されず。
ただ、出された薬を黙って飲むしかなかった。
だけど、二日たっても三日たっても。
薬を飲み続けていても、いっこうに良くなる傾向が見られない。
寧ろ、熱は徐々に上がり今では四十度になり、呼吸の苦しさに顔をゆがめ続けている。

体力を消耗し、弱っていく陸の体。
どうしてあげられる事もできず、私はただ陸の傍を離れられないでいた。

その症状は、陸がいうように風邪にしてはおかしい。
私の力が、陸に良くない影響でも及ぼしているのだろうか……。
溢れ出し制御できないこの力が、陸を苦しめているのだろうか?

このところ、自分の力に対し、自信のようなものを失っていた。
制御できないのもそうだし、簡単に人の念を受け止めてしまう……。

もし、私のせいだとしたら、どうすればいいのだろう……。

方法は、何一つ浮かばない。


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