psi 力ある者 愛の行方
陸が寝込んでから、私は一歩も外に出ることはなかった。
夏の日差しが差し込む眩しい窓を、ただ室内から眺めているだけだった。
そんな中、体調の悪さが移ってしまったのか、私も同じように体のダルさを感じ始めていた。
陸が寝込んで五日目の事だった。
お母さんは陸のことを心配し、夜は付きっ切りになっていた。
その分、私は陸の傍にいられず、自室へと引っ込む。
本当は、苦しそうな陸の傍にずっとついていてあげたい。
手を握り、ずっと傍にいてあげたい。
けれど、両親の前では姉弟と言う名の元に私たちは縛られている。
お母さんが看ているから大丈夫よ。そう、言われてしまえば離れるしかない。
それに、これ以上心配の種を増やすこともできない。
私まで寝込んでしまったら、お母さんに負担がかかるし。
陸だって、心配するだろう。
自分の体調の悪さは口にせず、私はおとなしくしていた。