psi 力ある者 愛の行方
助けてお祖母ちゃん
―――― 助けてお祖母ちゃん ――――
夕方、父の帰る少し前。
お母さんは、隣にある陸の部屋でおかゆを食べさせている。
私は、体のダルさに堪えながらら、お祖母ちゃんの仏間へと行った。
襖を開けて中に入ると、畳の部屋には線香の匂いが染み付いていた。
仏壇の前に正座をして、祖母の遺影に手を合わせる。
苦しがり続けている陸を、救って欲しい。
他界してしまった祖母の力を借りる事などできないとわかっていても、縋りつく相手が他にいない。
「お祖母ちゃん、陸を助けて。あんな風に苦しがるなんて、おかしいよ……。私の力が何か影響を及ぼしているの? ねぇ、お祖母ちゃん……」
小さな呟きで問い、縋るように助けを乞う。
穏やかで、皺を沢山作った笑顔で写る祖母の写真。
その飾られた小さな写真立てに、私は手を伸ばして持った。
途端、走馬灯のように視界が変わり始めた。
生きていた頃の祖母の色んな表情が、パラパラと物凄いスピードで映像になって現れる。
「っ!? なに……これ――――」
驚愕して言葉を無くしていると、まるで脳に直接話しかけてくるように祖母の声が降ってくる。
「未知……。未知――――。どうしても、助けが欲しい時は、私の元へ来なさい……。私の元へ――――…」
突然聞こえた声に驚き、持っていた写真立てを畳の上にポトリと落とした。