psi 力ある者 愛の行方 


すると今度は、さっきまで聞こえてこなかった、父と祖母の会話が聞こえてきた。

「知己……。私が死んだあとだがね」
「何言い出すんだよ、母さん」

「黙ってお聞き」
「……」

「仏壇に飾る写真立ての裏に、私がいつも着ているこの着物の切れ端を、忍ばせておいておくれ」
「着物の切れ端?」

「そう。この着物だよ。いいかい、絶対に入れておくれよ。さもないと化けて出るからねっ」
「か、母さんっ……」

聞こえてきた二人の会話に、祖母の念が流れ込んできた理由を知った。

そういうことだったんだ。
写真立ての裏の止め具をスライドさせ、押さえていた裏板をはずしてみた。
中からは、さっき聞こえて来たとおり、お祖母ちゃんの着物の切れ端が現れた。

「お祖母ちゃん」

祖母は、助けが必要なら来なさいといった。

もしかしたら―――――。

体のダルさに、私は一度大きく深呼吸をする。

陸を救えるかもしれない。
苦しがっている陸を、治してあげられるかもしれない。

希望を胸に、私は着物の切れ端にそっと指を置いた。

っ――――!!

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