psi 力ある者 愛の行方
祖母
―――― 祖母 ――――
「未知……」
懐かしい声にゆっくりと首をめぐらせれば、既に他界したはずの祖母が立っていた。
顔中いっぱいの皺と懐かしい微笑みで私を見ている。
「――――お祖母ちゃん……」
「よく来たね。未知」
ゆっくりとした動作で襖を閉め、祖母が私の前に正座する。
目の前に座る私へと皺皺のあったかい手を伸ばし、頭をなで肩に触れ悲しそうに顔を歪めた。
「沢山、つらい思いをしてきたね……」
祖母のたった一言に、全てを理解してくれているのが伝わってきた。
私から何かを言葉にして話さなくても、祖母は今までの全てを解ってくれている。
何もかもわかってくれる祖母に、涙が込み上げてきた。
喉の奥からグッと思いがせり上がり、鼻の奥がツーンとなる。
瞳からは、大粒の涙が零れる落ちる。
「おば……ちゃ……」
ポロポロと溢れる涙は、頬を伝い、畳を濡らしていく。
子供のようにしゃくり上げ泣き始めた私を、祖母は優しく抱きしめ、小さい頃何度もしてくれたように、優しく揺り籠のようにゆっくりと揺れ、よしよしと背を撫でてくれる。
抱きしめられた懐から、祖母の懐かしい香りに益々心が緩んでいった。
ピーンと張り詰め暮らしてきた今日までの糸が、一気に解かれていく。
自分のことを誰よりも理解してくれる祖母に、私は安心感でいっぱいになった。
「ごめんなぁ、未知……。こんな思いさせて……ごめんな……」
私に謝る祖母の声も、いつしか震えるように掠れ、涙声へと変っていった。