psi 力ある者 愛の行方
「なぜ、……陸が体調を崩していると思う? ……なぜ、お前も同じように体調を崩したと思う? それ以前に、どうして力が別の形で解放されたのか……。解るかい?」
「私の力のせい……でしょ?」
「確かに、その通りだね」
「でも、私。自分以外の力ある者には、近づいていないよ。なのに、どうして?」
全く思い当たらないそれに、力なく首を振った。
「力を持つ者は、未知が思っている相手ではないということだよ――――」
「えっ!?」
どういう事……?
泉は、違うっていう事?
「――――未知。お祖母ちゃんは、未知に謝っても謝りきれない罪を犯してしまったよ……」
「お祖母ちゃん?」
祖母は、項垂れるようにして深く疲れたような溜息をつく。
何を言っているのか理解のできない私は、目を伏せる祖母の次の言葉を黙って待っていた。
「未知の力が制御できないのも。体が不調を訴えるのも。家族になった陸が寝込んでしまったのも。全てお祖母ちゃんの責任だ……本当にすまないことを……」
神に命乞いでもする様に、祖母は何度も私に向かって頭を下げた。
「やめて、お祖母ちゃん。なんで、そんな、謝るなんて……。力を持って生まれたのは、お祖母ちゃんのせいじゃないよ」
縋りつくようにして謝る祖母の手をとり、その行為をやめさせる。
だって、これは仕方の無い事でしょ?
力を持ってしまうのは、宿命だもの。
お祖母ちゃんのせいじゃない。
「そうじゃない。そうじゃないんだよ……未知……」
手をとった私の両手を、祖母が震えながら握り返す。
揺れる瞳は、哀しみに満ちていた。