psi 力ある者 愛の行方
「力ある者に伝えられた約束事の中に、双子は禁忌とするものがある」
禁忌……。
「力ある者の双子は、災いをもたらす。もし、万に一つでも双子がこの世に出(いずる)ことがあるなら。片方は、この世から亡き者にせねばならない――――…」
亡き者っ……それって……。
今、私が生きているということは。
私がこの世に存在しているということは。
双子の男の子は――――……。
口にするのも恐ろしく、私は戦慄いた。
「未知の母親は、普通の人だった。惣領家に伝わる力ある者の話など、知る由もないまま嫁に来た。
もちろん、知己も力のことなど知りはしないから、当然のことだろう。そして、普通なら、力のことなど知らなくとも何の問題も無かったはずだった。しかし、生まれてしまったのが、双子だった……。説明しようにも理解できるはずも無く、私は力を使うしかなかった。私が死んだあと、未知一人だけになった時、母親の記憶が未知の力に反応して思い出さないとも限らない。だから、泣き叫び、生まれてきた赤子に縋りつくお前の母親から記憶を消し、後にこの家から出て行くよう仕向けた……」
「そんなっ……」
「未知から母親を奪うことが、どれほど酷な事かは解っていた。けれど、未知の命を救いたかった。双子の男の子を引き離し、母親を引き離してでもお前の命を救うことに、お祖母ちゃんは決めたんだよ」
「どう……して……」
どうして、私?
どうして私だったの?
その男の子でも良かったはず。
私じゃなくても……。
それに、こんな力を持つ子供なんて。
双子が禁忌なら、二人ともこの世から――――。