psi 力ある者 愛の行方
泣きながら伝える愛の言葉に、陸が不安な顔を浮かべた。
その顔に笑顔を見せ、私は陸の右手を取った。
切っ先を自らに向け、陸に握らせる。
何?
そう、陸が思う前に。
それがなんなのか判ってしまう前に。
陸の手が小刀から離れないよう、その上から私はしっかりと手を握る。
けして、陸の手が小刀から離れてしまわないように力を込める。
私は、その切っ先に向かい、陸へと身を預けた。
そうして、きつくきつく陸に抱きついた。
体を貫く鋭利な痛み。
顔を歪め漏れる声。
「未知……?」
「ごめんね……陸。でも、こうするしかなかったの……。私たちが犯した過ちで陸は……。陸、……生きてね。私の分まで生きてね……」
「未知っ――――」
「陸……愛してる――――」
陸にもたれかかったまま、私の意識は遠のいていった。
掠れゆく視界。
意識がなくなるまで、陸の顔を見ていたくて必死に目を開けていようとした。
けれど、私の体は遠くなる意識を待ってはくれず、薄れ消えていった。
この世の全ての記憶から、消えてなくなる。
二人、愛しあった事実さえも――――。