psi 力ある者 愛の行方
「泉と一緒にいると、色々面倒なの」
私は、黒谷の事を思い出しそう口にした。
泉は、ふ~ん。と言っただけで、少しも解っていない様子。
ただ、口を尖らせ空を仰いでいる。
そんな泉を置いて、私はまた直ぐ歩き出した。
すると、泉も同じようにまた隣に並んで歩く。
やっぱり、少しも解っていない。
校門が近づいたところで、もう一度立ち止まり泉へと向いた。
「あのさ。私じゃなくて、もっと構ってくれる子を相手にすれば? 泉ならいっぱいいるでしょ?」
「いっぱいって、誰?」
親指をポケットに引っ掛け、自分よりも背の低い私を見ながら、本当にわからないのか、そんな返答をしてよこした。
誰って……。
私は、人気者の彼に纏わりつく女子を片っ端から思い出していく。
……あ。
うちのクラスにいいのがいるじゃん。
「くろ――――…」
私が口を開くと、泉が言葉を重ねる。
「黒谷は、嫌だよ」
サラリと言ってくる泉だけれど、嫌だよって……。
黒谷に失礼じゃん。
それにしても泉、私の考えでも読めるわけ?
「どうして?」
黒谷が嫌な理由を、一応訊いてみる。