psi 力ある者 愛の行方
どれくらいの深さ
―――― どれくらいの深さ ――――
次の日も次の日も。
やっぱり、泉の行動は相変わらずだった。
隣のクラスからわざわざやって来て席を陣取り、ニコニコと悪気の全くない笑顔を見せ、黒谷の視線は私を刺す。
負の連鎖だ。
「ねぇ。いい加減にしてよ」
半ば諦めも入ってはいるが、今日もその台詞を投げかけるしかない。
私の席に当たり前のような顔をして座ったままの泉の口からは、えぇー。なんて反論が返ってくるだけ。
子供じゃないんだから。
呆れる私に、泉は珍しく少し考えるような素振りを見せた。
「じゃあさ。今日、昼メシ一緒にしようよ」
泉は、どう? と笑顔で交渉してくる。
昼メシ?
どんな交換条件よ。
だいたい、自分の席に勝手に座られている上に、条件呑まなきゃその本人が席に座れないってどういうこと?
私のこめかみが、ピクピクと痙攣し始める。
私は、苛立ちに泉を睨みつけた。
「だぁーかーらぁー。そんな顔すんなって。この前みたいな方が好きって言ったじゃん」
未だ、席から立ち上がる気配も見せず、私の表情に対して文句をつけてくる。
それから小声で。
「早く条件承諾しないと、面倒くさいジャイ子が怒ってここまで乗り込んでくるぞ」
泉は、私にだけ聞こえるように言って、ニッとイタズラな顔をしてみせた。
こいつ……。
黒谷をだしにして。