psi 力ある者 愛の行方
昼休み。
お弁当を片手に、一人で教室を出る。
いつもなら、私の足は図書室へと向くはずだった。
あの静かな空間で大好きな本たちに囲まれ、一人でお弁当を食べながら好きな作家の本を読みふける。
とても幸せな時間で、それが私の昼休みだった。
だけど、今日は納得のいかないまま屋上へと向かう階段を登っていた。
足取りも自然と重くなる。
けれど、約束は、約束。
それがどんなに理不尽でも、約束だからしかたない。
それにしても、何で私こんなに律儀なのよ。
自分に問いかけて、ああ、なんて納得してしまう。
お祖母ちゃんの教えのせいだ。
こんな約束のことまで律儀に守ろうとしている自分に鼻白む。
昨日読んだ話の続き、気になってんだけどなぁ。
あ~あ。
溜息混じりに、屋上の重い扉に手をかけ開けた。
今まで屋上になど来たことがなかったけれど、初めて入ったそこは青空が天井を覆いつくしていて、とても清々しいものだった。
いい天気。
胸いっぱいにその青空から降り注ぐ清々しい空気を吸い込んでから、中に踏み込みキョロキョロと辺りを窺うと、そこには他にも何組もの先客があった。
だいたいが二、三人で談笑し、男子・女子の固まりになってお弁当を食べている。
ふぅ~ん。
屋上って案外人が居るんだ。
知らなかった。