psi 力ある者 愛の行方
私は、開き直りニコリと笑顔を浮かべて泉の傍へ行く。
そうしてちょこんと隣に座り、泉にだけ聞こえるよう毒づいた。
「声大きいっ! 目立つでしょっ!!」
ムッとした声で言うと、面白がるようにケラケラと声を上げる。
まったく、笑うところじゃないんだけど。
不貞腐れる私とは対照的に、泉はいつもながらのニコニコ笑顔だ。
何がそんなに楽しいんだか。
「だってさー。マジで来てくれて、スッゲー嬉しくって」
泉は、本当に嬉しい。というようにはしゃぐと、さっそく自分のお弁当を広げ始めた。
彩のいいおかずの中から、ウインナーを箸でつまみ口に放り込んだ。
「うんまいっ」
幸せそうな顔で、モグモグと一生懸命に口を動かしている顔を見てしまっては、なんだかそれ以上怒っているのもバカらしくなり、私も自分のお弁当を広げた。
青空の下、穏やかで心地いいこの場所でのお昼ご飯。
中のタマゴ焼きに箸をつけ、たまには図書室にこもりっきりじゃなく、こうやって緩やかに吹く風と共にいるのもいいかもしれない。
私は、ずっと遠くまで、広く続く青空を眺めそんな感慨にひたる。
そうだ。
今度は本をここへ持ち込んで、お昼を食べるっていうのもいいよね。
青空の下で大好きな本を読んでいるところを想像して、幸せな気持ちになっていく。
けど、そんな心地よさも束の間――――…。
「なぁなぁ。惣領」
この緩やかな時間を掻き乱す声がすぐそばからかかった。
忘れていた……。
隣に泉が居たことを。
「――――何?」
口の中に入っている物をしっかりと咀嚼し、飲み込んでから返事をする。