psi 力ある者 愛の行方
「惣領ってさ。何で、いつも一人でいんの?」
プチトマトをパクッと口に入れ疑問を投げかけてくる。
「別に、いつも一人なわけじゃないでしょ」
「確かに。クラスの奴らに朝と帰りの挨拶はしてるし、話してる姿も見かける。けど、なんかただそれだけって感じ」
あっという間に食べ終わったお弁当箱を片付けながら、泉は私を見ている。
それだけって……。
それ以上のものなんて、私には必要ないから。
私は、狭く浅くがいいの。
大体、何でそんなに私のこと見てるのよ。
監視されてるみたいで気分が悪い。
「何が言いたいの?」
不機嫌な瞳で訊ねると、大袈裟に両手を広げ、ジェスチャー交じりに話を続ける。
「……何って……。うん……、ほらっ……こうさっ。もっと、深くっていうの? そういうのは、ないのかな? って」
最後の かな? てところで首を傾げて私を見る。
何、その可愛いでしょ? みたいな仕草……。
そんな事されても、少しもキュンとこないから。
やるなら、入り口付近に座って未だにあんたのことジッと見てる一年の女子にでもやってあげて。
きっと脳髄に響くくらいの黄色い声で喜んでくれるから。
そうやって、心の中で毒舌全開を繰り広げながらも、泉が言った言葉を考えてみた。