psi 力ある者 愛の行方
深くか……。
そんなことできるわけないじゃない。
だって、私は普通じゃないんだから。
誰かと深く関わってしまったら。
ほんの少しの出来事を気にしたり、不安や寂しさで相手の心を知りたくなってしまう。
普通の子なら、そこでやきもきしたり。
友達に相談したり。
落ち込んで悩んで、過ぎて行く時に任せることだろう。
けれど私は、自分の力を使わずにいられる自信がない……。
深く心を許した相手を見過ごしたり、放っておいたり。
そう簡単にできるほど、強い人間でも、出来た人間でもない。
それがよく解っている。
だったら、初めから関わる事など。
深く知る事など、しない方がいい。
それに、相手だって。
私との間に、何かしらの強い感情を抱かないとも限らない。
もしも、それをぶつけられたら。
自分のこの力を完璧に制御できるかどうか……。
自分の意思に反して、力をこじ開けられることだってありうる。
幼い時、母のあとを追ったあの強い感情と同じものを、もし誰かが私にぶつけてきたら。
祖母のように、その力を抑え込む事などできやしない……。
考えた結果に肩を落とし、私は一人黙り込む。
「一人くらい。深い相手がいてもいいと思わない?」
何も知らずにいるあどけない表情でそう訊ねられたことに、私は間髪いれずに言い返した。
「思わない」
思っちゃいけないんだよ、私は……。