psi 力ある者 愛の行方 


私が気持ちを振り切るようにきっぱり言い切ると、泉は、ん~。なんて、顎に右手をやり渋い表情をする。

「これは、なかなか手強い相手だ」

何言ってんだか。
泉は、お気楽でいいなぁ。

だいたい、手強いって、何よ。
私は、ゲームのボスキャラじゃないんだから。

「ゲームのボスキャラ並に手強い」

だから、私はゲームじゃ――――。

今……なんて言った?

私、ゲームの事口にしてないよね……?

なのに――――。

微かに動揺し始めた自らの心を何とか落ち着かせ、マジマジと泉の顔を見る。

「ん? 俺の顔になんか付いてる?」

私があまりに泉のことをジッと見たせいで、キョトンとしている。
その表情にハッとし、目を逸らした。

「別に、何も付いてない……」

私は、動揺を隠すようにボソリとつぶやいた。

「あーあ。俺、惣領とは結構深いところまでいける気でいたんだけどなぁ」

泉は両手を頭の後ろにやり、そのままゴロンと仰向けに寝転がってしまった。
ゆっくりと流れる小さな雲を目で追うようにし、それからふぁ~と大きな欠伸をする。

能天気なその顔を見て、同じ力ある者が、こんなに危機感もなくのんびりした性格のわけがない。
勝手にそう結論付け、考えを断ち切った。

のほほんとしている泉と同じように、私も寝転がり青空を見上げる。
動いているのが雲じゃなく、まるで自分のようなこの感覚に心が和いでいった。

これくらいまでの深さの関係なら、別にいいのかもしれないな。
微笑を浮かべながら、私は隣に寝転ぶ泉を見た。


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